手取りはいくら?給与・ボーナス・退職金・配当の違い
手取りの計算は「引かれるものが何か」で決まります。給与からは社会保険料・所得税・住民税の 3 つ、 ボーナスからは住民税を除いた 2 つ、退職金と配当からは社会保険料を除いた 2 つ、 という具合に対象が異なります。 この記事では収入の種類ごとに何がいくら引かれるかを金額で示します。
収入の種類で手取りが変わるのはなぜ?
給与・ボーナス・退職金・配当は、税法上それぞれ別の所得区分に属します。 給与とボーナスは給与所得、退職金は退職所得、配当は配当所得です。 区分が違うと控除の仕組みも税率の決め方も変わるため、同じ 100 万円を受け取っても残る額が変わります。
差が出る要因は次の 3 つに整理できます。
- 社会保険料がかかるか(給与とボーナスはかかる、退職金と配当はかからない)
- 住民税がその場で引かれるか(給与は引かれる、ボーナスは引かれない)
- 専用の控除があるか(退職金には勤続年数に応じた退職所得控除がある)
年収別の手取りはいくら?早見表
年収 200 万円から 2,000 万円までの手取り額です。 40 歳未満・独身・扶養なし・給与所得のみを前提とした概算で、 社会保険料・所得税・住民税をすべて引いた後の金額を年額と月額で示しています。
| 年収 | 社会保険料 | 所得税 | 住民税 | 手取り(年) | 手取り(月) | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 200 万円 | 293,800 円 | 0 円 | 56,100 円 | 1,650,100 円 | 137,508 円 | 82.5% |
| 250 万円 | 367,250 円 | 13,300 円 | 89,700 円 | 2,029,750 円 | 169,146 円 | 81.2% |
| 300 万円 | 440,700 円 | 27,500 円 | 117,400 円 | 2,414,400 円 | 201,200 円 | 80.5% |
| 350 万円 | 514,150 円 | 41,600 円 | 145,000 円 | 2,799,250 円 | 233,271 円 | 80.0% |
| 400 万円 | 587,600 円 | 57,700 円 | 176,700 円 | 3,178,000 円 | 264,833 円 | 79.5% |
| 450 万円 | 661,050 円 | 74,400 円 | 209,300 円 | 3,555,250 円 | 296,271 円 | 79.0% |
| 500 万円 | 734,500 円 | 91,100 円 | 242,000 円 | 3,932,400 円 | 327,700 円 | 78.6% |
| 550 万円 | 807,950 円 | 116,000 円 | 274,700 円 | 4,301,350 円 | 358,446 円 | 78.2% |
| 600 万円 | 881,400 円 | 149,300 円 | 307,300 円 | 4,662,000 円 | 388,500 円 | 77.7% |
| 700 万円 | 1,028,300 円 | 278,400 円 | 376,600 円 | 5,316,700 円 | 443,058 円 | 76.0% |
| 800 万円 | 1,156,900 円 | 436,000 円 | 453,800 円 | 5,953,300 円 | 496,108 円 | 74.4% |
| 900 万円 | 1,212,300 円 | 628,800 円 | 543,200 円 | 6,615,700 円 | 551,308 円 | 73.5% |
| 1,000 万円 | 1,267,700 円 | 821,800 円 | 637,700 円 | 7,272,800 円 | 606,067 円 | 72.7% |
| 1,200 万円 | 1,378,500 円 | 1,241,200 円 | 826,600 円 | 8,553,700 円 | 712,808 円 | 71.3% |
| 1,500 万円 | 1,544,700 円 | 2,099,200 円 | 1,110,000 円 | 10,246,100 円 | 853,842 円 | 68.3% |
| 2,000 万円 | 1,654,372 円 | 3,746,800 円 | 1,599,000 円 | 12,999,828 円 | 1,083,319 円 | 65.0% |
2026 年(令和 8 年分)の基礎控除・給与所得控除、協会けんぽ(東京都)の保険料率で計算。 標準報酬月額の等級丸めは行わず年収比例で近似し、住民税の調整控除は 2,500 円で固定しています。 賞与を含む年収を入れた場合の概算値です。
手取り率は年収 200 万円で 82.5%、 年収 2,000 万円で 65.0% まで下がります。 年収が 10 倍になっても手取りは7.9 倍にしかなりません。 社会保険料はほぼ定率なので、率を押し下げているのは所得税の累進部分です。
表を上から見ていくと、年収 500 万円あたりまでは年収が 50 万円増えるごとに手取りが 38 万円前後増えるという、 おおむね一定のペースが続きます。増えた年収の 4 分の 3 が手元に残る計算です。 ところが年収 1,000 万円から 1,200 万円へ 200 万円上がった場合、手取りの増加は1,280,900 円で、 残る割合は64% まで落ちます。 昇給の手応えが年収帯によって変わるのはこのためです。 自分の年収での内訳は手取り計算ツールで 1 円単位まで確認できます。
40 歳になると手取りはいくら減る?
40 歳の誕生日を迎えた月から介護保険の第 2 号被保険者になり、 健康保険料に介護保険料が上乗せされます。昇給がなければ、同じ年収のまま手取りだけが減ります。
| 年収 | 介護保険料(年) | 39 歳以下の手取り | 40 歳以上の手取り | 差額(年) |
|---|---|---|---|---|
| 300 万円 | 24,300 円 | 2,414,400 円 | 2,393,800 円 | −20,600 円 |
| 500 万円 | 40,500 円 | 3,932,400 円 | 3,898,000 円 | −34,400 円 |
| 700 万円 | 56,700 円 | 5,316,700 円 | 5,277,100 円 | −39,600 円 |
| 1,000 万円 | 81,000 円 | 7,272,800 円 | 7,216,500 円 | −56,300 円 |
年収 500 万円なら年 34,400 円、 月あたり約 2,867 円の減少です。 介護保険料そのものは 40,500 円ですが、 社会保険料が増えた分だけ課税所得が下がり、所得税と住民税がわずかに減るため、 手取りの目減りは保険料の額よりやや小さくなります。 負担は 65 歳になるまで続きます。
社会保険料の内訳はどうなっている?
手取りを最も大きく削っているのは、多くの年収帯で所得税ではなく社会保険料です。 年収 500 万円の場合、社会保険料は734,500 円で、 所得税 91,100 円の 約 8 倍です。 内訳は厚生年金 457,500 円、 健康保険 252,000 円、 雇用保険 25,000 円です。
いずれも会社と折半で負担しており、給与明細に載るのは半分だけです。 雇用保険を除けば会社も同額を払っているので、会社が負担している人件費は額面より 1 割以上多いことになります。 年収 500 万円の人なら、会社側の負担も年 70 万円前後です。
厚生年金には標準報酬月額の上限(月額 65 万円)があり、 これを超える部分には保険料がかかりません。健康保険にも月額 139 万円の上限があります。 このため高年収になるほど社会保険料の負担率は下がっていきます。 年収 200 万円では社会保険料が年収の14.7% を占めるのに対し、 年収 2,000 万円では8.3% にとどまります。 それでも高年収の手取り率が下がるのは、社会保険料の軽さを所得税の累進が上回るためです。
ボーナスから住民税が引かれないのはなぜ?
住民税は前年の所得に基づいて年額が確定し、それを 12 で割って毎月の給与から引く方式(特別徴収)を取ります。 年額が先に決まっている仕組みなので、ボーナスから追加で引く必要がありません。 ボーナスから引かれるのは社会保険料と所得税の 2 つです。
賞与 500,000 円、前月給与 300,000 円、扶養なしの場合、 社会保険料 73,450 円と 所得税 17,420 円が引かれ、手取りは409,130 円(手取り率 81.8%)になります。
所得税率が前月の給与額で決まる点が給与とは異なります。 この賞与では 4.084% が適用されました。 同じ賞与 500,000 円でも、前月給与が違うと手取りは次のように変わります。
| 前月の給与(額面) | 源泉徴収税率 | 社会保険料 | 所得税 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 200,000 円 | 4.084% | 73,450 円 | 17,420 円 | 409,130 円 |
| 300,000 円 | 4.084% | 73,450 円 | 17,420 円 | 409,130 円 |
| 350,000 円 | 6.126% | 73,450 円 | 26,130 円 | 400,420 円 |
| 400,000 円 | 8.168% | 73,450 円 | 34,840 円 | 391,710 円 |
| 500,000 円 | 14.294% | 73,450 円 | 60,971 円 | 365,579 円 |
| 600,000 円 | 16.336% | 73,450 円 | 69,681 円 | 356,869 円 |
社会保険料は賞与額だけで決まるので全行で同じですが、 所得税は前月給与が 200,000 円のときと600,000 円のときで52,261 円も違います。賞与の源泉徴収は「前月にいくら稼いだか」から年収を推定する仕組みなので、 前月がたまたま残業続きだった年は多めに引かれます。 引かれすぎた分は年末調整で戻るため、損をするわけではありません。 金額を変えて試すにはボーナス手取り計算ツールを、 戻ってくる額の見積もりは年末調整でいくら戻る?を使ってください。
退職金の手取りが多いのはなぜ?
退職金には社会保険料がかからず、勤続年数に応じた退職所得控除があり、 さらに控除後の金額を半分にしてから課税します(1/2 課税)。 3 段構えで優遇されているため、手取り率が給与とは比較にならないほど高くなります。
退職金 20,000,000 円を勤続年数別に計算すると次のようになります。
| 勤続年数 | 退職所得控除 | 課税退職所得 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|
| 5 年 | 2,000,000 円 | 16,500,000 円 | 14,359,000 円 | 71.8% |
| 10 年 | 4,000,000 円 | 8,000,000 円 | 17,970,800 円 | 89.9% |
| 20 年 | 8,000,000 円 | 6,000,000 円 | 18,611,300 円 | 93.1% |
| 30 年 | 15,000,000 円 | 2,500,000 円 | 19,594,300 円 | 98.0% |
| 38 年 | 20,600,000 円 | 0 円 | 20,000,000 円 | 100.0% |
勤続 38 年になると控除額が20,600,000 円に達し、 退職金 20,000,000 円が全額非課税になります。控除額は勤続 20 年までは 1 年あたり 40 万円、 21 年目以降は 70 万円ずつ増える設計で、長く勤めるほど加速度的に増えます。
逆に勤続 5 年以下だと手取り率は 71.8% まで落ちます。 控除額が 2,000,000 円しかないうえ、 控除後の金額が 300 万円を超える部分には 1/2 課税が適用されないためです (令和 4 年の改正で、短期勤務での優遇が制限されました)。
では控除の枠内に収まっていれば常に非課税かというと、そうではありません。 勤続 38 年のまま退職金の額を変えると次のようになります。
| 退職金 | 退職所得控除 | 課税退職所得 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|
| 10,000,000 円 | 20,600,000 円 | 0 円 | 10,000,000 円 | 100.0% |
| 20,000,000 円 | 20,600,000 円 | 0 円 | 20,000,000 円 | 100.0% |
| 30,000,000 円 | 20,600,000 円 | 4,700,000 円 | 29,006,800 円 | 96.7% |
| 40,000,000 円 | 20,600,000 円 | 9,700,000 円 | 37,330,100 円 | 93.3% |
控除額は勤続年数だけで決まるので、退職金が20,600,000 円を 超えた部分から課税が始まります。それでも手取り率は93.3% と高い水準です。 自分の勤続年数と金額での試算は退職金の手取り計算ツールで確認できます。 退職金を受け取った後の資産の置き方は資産形成シミュレーションは何から始める?で扱っています。
配当は課税方式で手取りが変わる?
配当所得は 3 つの扱いから選べます。何も手続きしなければ源泉徴収された時点で完結し、 確定申告で総合課税を選ぶこともでき、NISA 口座であれば課税されません。 配当 300,000 円を年収 500 万円の会社員が受け取った場合の比較です。
| 課税方式 | 所得税 | 住民税 | 手取り | 実効税率 |
|---|---|---|---|---|
| 申告分離課税 | 45,900 円 | 15,000 円 | 239,100 円 | 20.3% |
| 総合課税 | 700 円 | 21,600 円 | 277,700 円 | 7.43% |
| NISA(非課税) | 0 円 | 0 円 | 300,000 円 | 0% |
給与所得 356 万円(年収 500 万円相当)・所得控除 150 万円を前提とした概算。
注目すべきは総合課税の実効税率が 7.43% と、 申告分離課税の 20.3% を大きく下回る点です。 配当控除という税額控除があるため、所得税率が低い人は総合課税を選ぶと有利になります。 ただし総合課税では配当が所得に加算されるので、 社会保険料や扶養の判定に影響する場合があります。
この有利不利は所得が上がると逆転します。 給与所得 1,200 万円の人が同じ配当 300,000 円を受け取った場合、 総合課税の実効税率は 37.3% となり、 申告分離課税の 20.3% を大きく上回ります。 手取りで比べると総合課税 188,100 円に対し 申告分離課税は 239,100 円で、差は 51,000 円。 総合課税では配当が給与に上乗せされて高い累進税率が当たるうえ、 課税総所得金額が 1,000 万円を超える部分の配当控除率が 10% から 5% へ半減するためです。
目安として、課税総所得金額が 900 万円以下なら総合課税、 超えるなら申告分離課税が有利になりやすい、という切り分けになります。 ただし総合課税を選ぶと住民税でも所得が増えるため、 国民健康保険に加入している人は保険料への影響も見る必要があります。 自分の所得での比較は配当金の手取り計算ツールで行えます。 そもそも課税されない NISA 口座を先に使い切るのが最も単純で、 制度の選び方は新NISAとiDeCoはどっちを先に?にまとめています。
同じ 2,000 万円でも手取りはどれだけ違う?
ここまでの違いを 1 つの金額で並べます。20,000,000 円を 年収として 1 年で受け取った場合と、勤続 30 年の退職金として受け取った場合の比較です。
| 受け取り方 | 社会保険料 | 所得税 | 住民税 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 年収(給与) | 1,654,372 円 | 3,746,800 円 | 1,599,000 円 | 12,999,828 円 | 65.0% |
| 退職金(勤続 30 年) | 0 円 | 155,700 円 | 250,000 円 | 19,594,300 円 | 98.0% |
差は 6,594,472 円です。 給与では社会保険料 1,654,372 円がまず引かれ、 残りに最高 33% の累進税率が当たります。退職金は社会保険料がゼロで、15,000,000 円の控除を引いた残りをさらに半分にしてから 課税されるため、課税対象は 2,500,000 円まで縮みます。
受け取り方を選べる場面は限られますが、 企業型確定拠出年金や iDeCo の受け取りを一時金にするか年金にするか、 退職金の一部を企業年金として分割で受け取るか、といった判断ではこの差が効いてきます。 なお退職所得控除は、iDeCo の一時金と会社の退職金を近い時期に受け取ると 重複して使えない調整規定があるため、受取時期の設計は事前に確認が必要です。
まとめ
手取り率は配当(NISA なら 100%)、退職金、ボーナス、給与の順に低くなります。 給与だけが 3 つすべてを引かれるためです。この差を知っておくと、 受け取り方を選べる場面での判断がしやすくなります。 時給や日給から月収を求める場合はバイト給料計算ツールが向いています。
手取りが分かったら、次は配分です。家計の黄金比とは?で 費目別の割合を、資産形成シミュレーションは何から始める?で 貯蓄と投資の計算順を扱っています。