在職老齢年金の計算
使い方・仕組み解説
在職老齢年金とは?
在職老齢年金は、厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取るときに、給与と年金の合計額に応じて年金の一部または全部が止まる仕組みです。止まるのは老齢厚生年金だけで、老齢基礎年金と経過的加算額は全額受け取れます。 このツールは基本月額と給与・賞与を入れるだけで、支給停止額と実際に受け取れる年金、 いくらまで働くと停止が始まるかを計算します。計算はブラウザ内だけで完結し、入力した金額はサーバーへ送られません。
70歳以降も厚生年金適用事業所で働く場合は、厚生年金の被保険者ではありませんが、在職による支給停止は行われます。 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」がこの扱いを明記しています。
2026年4月に基準額が引き上げられた?
されました。年金が減額になる基準額が月 51 万円から 65 万円 に引き上げられています。令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)による見直しで、2026年4月から適用されています。 働き続けることを希望する高齢者の活躍を後押しする趣旨だと日本年金機構は説明しています。
基準額は過去に 47 万円・51 万円と改定されてきました。28 万円は令和4年3月以前の65歳未満向けの旧制度の額です。 いずれも現在は使われていないため、古い基準額で計算している資料とは結果が合いません。 このツールは 65 万円 で計算します。
使い方
- 基本月額を入力します。加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額です
- 標準報酬月額と、直近1年の賞与の合計を入力します
- 老齢基礎年金の月額を入れると、受け取れる年金の合計も表示されます
- 「支給停止額を計算する」を押すと、停止額と働ける上限が出ます
在職老齢年金の計算式は?
基本月額 + 総報酬月額相当額が 65 万円 を超えた分の半分が止まります。日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」が示している式は次のとおりです。
支給停止額 =(基本月額 + 総報酬月額相当額 - 65 万円)÷ 2
基本月額 100,000 円・総報酬月額相当額 500,000 円 なら合計は600,000 円 で基準額以下なので、年金は全額支給されます。 総報酬月額相当額が 600,000 円 になると合計は 700,000 円 で、 超過分 50,000 円 の半分にあたる 25,000 円が止まり、受け取れる年金は 75,000 円 になります。
総報酬月額相当額とは?
支給対象月の標準報酬月額に、直近1年間の賞与の合計を12で割った額を足したものです。月給だけでなく賞与も判定に入るため、賞与の多い人は月給が同じでも停止されやすくなります。 標準報酬月額 400,000 円・年間賞与 1,200,000 円 なら、総報酬月額相当額は500,000 円 です。賞与の分だけ月 100,000 円 上乗せされます。
給与ごとにいくら止まる?
基本月額 100,000 円 なら、総報酬月額相当額 50 万円 までは停止されず、60 万円 で月 25,000 円 が止まります。総報酬月額相当額ごとの支給停止額は次のようになります。
| 総報酬月額相当額 | 合計 | 支給停止額 | 受け取れる年金 |
|---|---|---|---|
| 400,000 円 | 500,000 円 | 0 円 | 100,000 円 |
| 500,000 円 | 600,000 円 | 0 円 | 100,000 円 |
| 550,000 円 | 650,000 円 | 0 円 | 100,000 円 |
| 600,000 円 | 700,000 円 | 25,000 円 | 75,000 円 |
| 700,000 円 | 800,000 円 | 75,000 円 | 25,000 円 |
| 750,000 円 | 850,000 円 | 100,000 円 | 0 円 |
基本月額 100,000 円 の人は、総報酬月額相当額が550,000 円 を超えると停止が始まり、750,000 円 で老齢厚生年金が全額止まります。
基本月額が多い人ほど働ける?
いいえ、逆です。基準額は基本月額と給与の合計で判定するため、 年金が多い人ほど停止が始まる給与の水準は低くなります。基本月額ごとの分岐点は次のとおりです。
| 基本月額 | 停止が始まる総報酬月額相当額 | 全額停止になる総報酬月額相当額 |
|---|---|---|
| 80,000 円 | 570,000 円 | 730,000 円 |
| 100,000 円 | 550,000 円 | 750,000 円 |
| 120,000 円 | 530,000 円 | 770,000 円 |
| 150,000 円 | 500,000 円 | 800,000 円 |
| 180,000 円 | 470,000 円 | 830,000 円 |
給与を上げると手取りの合計は減る?
減りません。止まるのは超過分の半分なので、給与を上げた分のほうが必ず大きくなります。 基本月額 100,000 円 のケースで、給与と受け取れる年金の合計を比べます。
給与 500,000 円 のときの合計は 600,000 円、 給与 600,000 円 のときは 675,000 円 です。 給与が 10 万円増えても手取り前の合計は 75,000 円しか増えませんが、減ることはありません。働き損にはならない設計です。
老齢基礎年金も止まる?
止まりません。在職老齢年金で支給停止の対象になるのは老齢厚生年金(加給年金額を含む)だけです。 老齢基礎年金と経過的加算額は、給与がいくら高くても全額支給されます。 老齢厚生年金が全額停止になった場合でも、基礎年金は満額受け取れます。
加給年金額は基本月額の計算には入りませんが、老齢厚生年金が全額支給停止になると加給年金額も止まります。 配偶者加給年金を受けている人は、この点の影響が大きくなります。
支給停止額はいつ変わる?
総報酬月額相当額が変わった月か、退職日の翌月です。昇給や賞与で標準報酬月額が変われば、その月から停止額も変わります。 退職して1か月を経過すると、退職した翌月分の年金額から見直され(退職改定)、支給停止もなくなります。 65歳以上70歳未満で働き続ける人は、毎年9月1日を基準日として年金額が見直されます(在職定時改定)。
注意事項
- このツールの結果は概算です。厚生年金基金に加入していた期間がある場合は基本月額の算出方法が変わります。 正式な金額は年金事務所で確認してください
- 基準額 65 万円 は2026年4月からの額です。改正前の 51 万円・47 万円や、 令和4年3月以前の 28 万円で計算している資料と結果が合わないことがあります
- 支給停止額の1円未満の端数処理は公表資料に明示がないため、このツールでは切り捨てています
- 受給資格(老齢厚生年金の受給権があるか、厚生年金の被保険者かどうか)の判定は行いません
- 入力した金額はブラウザ内だけで処理され、サーバーへ送信されません
関連ツール: 60歳以降に賃金が下がった場合は高年齢雇用継続給付金の計算、 働きながらの手取りは年収から手取りを計算、 退職金の手取りは退職金の手取り計算で確認できます。
60代の収入と資産の組み立ては、資産形成シミュレーションの使い方ガイドで解説しています。
よくある質問
- 在職老齢年金の基準額はいくらですか?
- 2026年4月から月65万円です。令和7年年金制度改正法により51万円から引き上げられました。基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下なら年金は全額支給されます。
- いくら働くと年金が止まりますか?
- 基本月額10万円の人は、総報酬月額相当額が55万円を超えると停止が始まり、75万円で老齢厚生年金が全額止まります。年金が多い人ほど停止が始まる給与の水準は低くなります。
- 老齢基礎年金も支給停止になりますか?
- なりません。支給停止の対象は老齢厚生年金(加給年金額を含む)だけです。老齢基礎年金と経過的加算額は、老齢厚生年金が全額停止になっても満額受け取れます。
- 給与を上げると働き損になりますか?
- 損しません。止まるのは基準額を超えた分の半分なので、給与の増加分のほうが必ず大きくなります。給与と年金の合計が減ることはありません。
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