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相続税はいくらから?基礎控除の計算と遺産額別の早見表

相続税は、遺産の総額が基礎控除を超えた分にだけかかります。 基礎控除は「3,000 万円 + 600 万円 × 法定相続人の数」で、 配偶者と子 2 人が相続人なら 48,000,000 円です。 遺産がこの額に収まるなら申告も納税も不要です。 遺産額と相続人の数を入れて概算するには相続税シミュレーターが使えます。

相続税がかかるのはいくらから?

判定は基礎控除との比較だけです。計算式は次のとおりです。

基礎控除額 = 3,000 万円 + 600 万円 × 法定相続人の数

相続人の数ごとの基礎控除額は次のとおりです。 相続人が多いほど控除枠が広がる仕組みなので、同じ遺産額でも家族構成によって課税されるかどうかが変わります。

法定相続人の数基礎控除額この額までなら申告不要
1 人36,000,000 円3,600 万円
2 人42,000,000 円4,200 万円
3 人48,000,000 円4,800 万円
4 人54,000,000 円5,400 万円
5 人60,000,000 円6,000 万円

法定相続人の数え方には注意点が 2 つあります。相続放棄をした人がいても、 基礎控除の計算では放棄がなかったものとして人数に数えます。 また養子は、実子がいる場合は 1 人まで、実子がいない場合は 2 人までしか 人数に含められません。養子縁組を重ねても、控除枠は無制限には増やせません。

遺産の総額には、預貯金や有価証券だけでなく、土地・建物、 死亡保険金や死亡退職金のうち非課税枠を超えた分も含まれます。 亡くなる前 7 年以内に相続人へ贈与された財産も、原則として遺産に足し戻します (令和 6 年の改正で 3 年から段階的に 7 年へ延長されました)。 一方で借入金や未払いの税金、葬式費用は差し引けます。 自宅の土地については、条件を満たせば評価額を 8 割減らせる小規模宅地等の特例があり、 これが使えるかどうかで結論が変わることも珍しくありません。

遺産 6,000 万円だと相続税はいくら?計算を最初から最後まで

結論から書くと、遺産 6,000 万円・相続人が配偶者と子 2 人・ 法定相続分どおりに分けた場合の納税額は 600,000 円(子 1 人あたり 300,000 円)です。 以下、このモデルケース 1 件だけを使って計算の流れを追います。 数字はすべて相続税シミュレーターと 同じ計算式で出しているので、ツールに同じ条件を入れれば同じ額になります。

  1. 基礎控除を引く。相続人は 3 人なので基礎控除は 48,000,000 円。 遺産 60,000,000 円からこれを引いた12,000,000 円が課税遺産総額です。 ここがマイナスなら税額はゼロで、申告も不要になります。
  2. 実際の分け方ではなく、法定相続分で仮に分ける。相続税は「誰がいくら取ったか」を先に反映しません。 課税遺産総額 12,000,000 円を、配偶者 1/2・子は残り 1/2 を均等、 という法定相続分で機械的に按分します。配偶者 6,000,000 円、 子は 1 人 3,000,000 円ずつです。
  3. 按分後の金額に税率表を当てる。配偶者の 6,000,000 円は税率 10% で600,000 円、子は 1 人 3,000,000 円が 税率 10% で 300,000 円。 いずれも 1,000 万円以下なので最低税率の区分です。
  4. 足し合わせて「相続税の総額」を出す。600,000 円 + 300,000 円 × 2 人 =1,200,000 円。 この額が、この家族が負担する相続税の全体です。 分け方をどう変えてもこの総額は動きません。
  5. 実際の取得割合で総額を割り振る。法定相続分どおりに分けたので、配偶者に 600,000 円、 子に 1 人 300,000 円が割り当てられます。
  6. 配偶者の税額軽減を適用する。配偶者の取得額3,000 万円は法定相続分の範囲内なので、 配偶者の税額 600,000 円は全額が免除されます。 残るのは子 2 人分の 600,000 円だけです。

小規模宅地等の特例・生命保険金の非課税枠・葬式費用は含まない概算です。 実際にはこれらを差し引いてから遺産総額を確定させます。

流れの要点は 3 番目の「法定相続分で仮に按分してから税率を当てる」ところです。 遺産総額にいきなり税率を掛けるのではないため、相続人が多いほど 1 人あたりの取得額が小さくなり、 低い税率の区分に収まって総額が下がります。基礎控除が増えるのとは別に、 累進税率の面でも相続人の数が効く二重構造になっています。

相続税の税率は何%?速算表

法定相続分で按分したあとの金額に、次の速算表を当てはめます。 税額 = 取得金額 × 税率 − 控除額、という形です。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000 万円以下10%-
3,000 万円以下15%500,000 円
5,000 万円以下20%2,000,000 円
1 億円以下30%7,000,000 円
2 億円以下40%17,000,000 円
3 億円以下45%27,000,000 円
6 億円以下50%42,000,000 円
6 億円超55%72,000,000 円

モデルケースの子 1 人分は 3,000,000 円なので最上段に当たり、3,000,000 円 × 10% = 300,000 円。 この税率が対応するのは按分後の金額です。 「遺産 1 億円だから 30%」ではありません。

遺産額別の相続税はいくら?(配偶者と子2人)

配偶者と子 2 人が相続人で、法定相続分どおりに分けた場合の概算です。 「税額の総額」は配偶者の税額軽減を適用する前、 「実際の納税額」は配偶者が法定相続分(1/2)を取得して軽減を受けた後の金額です。

遺産総額課税遺産総額税額の総額実際の納税額
5,000 万円2,000,000 円200,000 円100,000 円
8,000 万円32,000,000 円3,500,000 円1,750,000 円
1 億円52,000,000 円6,300,000 円3,150,000 円
1.5 億円102,000,000 円14,950,000 円7,475,000 円
2 億円152,000,000 円27,000,000 円13,500,000 円

基礎控除 48,000,000 円(相続人 3 人)。 小規模宅地等の特例や生命保険金の非課税枠は含まない概算です。

遺産 1 億円で納税額は 3,150,000 円、 2 億円では 13,500,000 円と、 遺産が 2 倍になると納税額は 4 倍を超えます。相続税の税率が10% から55% までの 累進構造になっているためです。

表の「税額の総額」と「実際の納税額」がちょうど 2 倍の関係になっているのは、 配偶者が法定相続分の 1/2 を取得し、その分の税額が全額免除されるためです。 逆に言えば、この家族が本来負担する相続税の半分は、 配偶者の税額軽減によって二次相続まで先送りされていることになります。 先送り分がどう跳ね返るかは、後述の二次相続の節で数字にしています。

配偶者がいない場合はどうなる?(子2人のみ)

両親のうち後に亡くなったときの相続(二次相続)では、配偶者がいないため 基礎控除が 42,000,000 円に下がり、配偶者の税額軽減も使えません。

遺産総額納税額(子2人)子1人あたり配偶者ありとの差
5,000 万円800,000 円400,000 円+700,000 円
8,000 万円4,700,000 円2,350,000 円+2,950,000 円
1 億円7,700,000 円3,850,000 円+4,550,000 円
1.5 億円18,400,000 円9,200,000 円+10,925,000 円
2 億円33,400,000 円16,700,000 円+19,900,000 円

同じ遺産額でも納税額は倍以上に増えます。 一次相続で配偶者の税額軽減を最大限使って配偶者に多く相続させると、 その財産が二次相続で子に課税されるため、 二世代を通した合計では不利になる場合があります。 分け方を決めるときは、二次相続の税額まで含めて比べる必要があります。

配偶者の税額軽減はどこまで使える?

配偶者が相続した財産については、法定相続分(子がいる場合は 1/2)または 1 億 6,000 万円のどちらか多い額まで相続税がかかりません。 遺産 1 億 6,000 万円以下なら、配偶者が全部相続すれば納税額はゼロになります。

この制度は強力ですが、前節のとおり二次相続で跳ね返ります。 配偶者自身の資産が既に多い場合や、配偶者の年齢が高い場合は、 一次相続で子に多く渡したほうが二世代の合計税額が小さくなることがあります。 どこで分岐するかは資産の内容と家族構成によるため、金額が大きいなら税理士への相談が確実です。

適用には条件が 2 つあります。ひとつは戸籍上の配偶者であることで、 婚姻期間の長短は問われませんが、内縁関係では使えません。 もうひとつは申告期限までに遺産分割が終わっていることです。 未分割のまま期限を迎えると、いったんこの軽減なしで納税することになります。

一次相続で配偶者に多く渡すと得?二次相続まで通した合計税額

配偶者の税額軽減を最大限使えば一次相続の納税はゼロにできますが、 その財産は配偶者が亡くなったときに子へ移り、二次相続で課税されます。比べるべきは一次相続の税額ではなく、二世代を通した合計額です。モデルケース(遺産 6,000 万円・配偶者と子 2 人)で、 一次相続の分け方を 2 通り試算しました。

一次相続の分け方一次相続の納税額二次相続の遺産二次相続の納税額二世代の合計
A: 法定相続分どおり(配偶者 1/2)600,000 円3,000 万円0 円600,000 円
B: 配偶者が全額を取得0 円6,000 万円1,800,000 円1,800,000 円

一次相続だけを見れば B(納税ゼロ)が有利に見えます。 ところが二世代の合計では A が 600,000 円、B が 1,800,000 円で、差は 1,200,000 円。B のほうが不利です。 理由は 2 つあります。二次相続では相続人が 2 人に減って基礎控除が48,000,000 円から 42,000,000 円へ下がること、 そして配偶者の税額軽減という最大の武器が使えないことです。

A のケースで二次相続の納税がゼロになったのは、配偶者が引き継いだ3,000 万円が基礎控除 42,000,000 円に収まったためです。 つまり一次相続で配偶者の取得額を「二次相続の基礎控除以下」に抑えられるなら、 二世代を通して非課税で通せることになります。この見立ては、 金額を変えて相続税シミュレーターを 2 回(一次・二次)動かせば自分の家族構成でも確認できます。

この試算は、配偶者自身の固有財産がゼロ・二次相続までに財産が増減しない・ 生活費で目減りしない、という単純化を置いています。 また一次相続から 10 年以内に二次相続が発生した場合の相次相続控除も含んでいません。 実際には配偶者の年金や生活費、自宅の評価額で結論が動きます。

基礎控除以外に使える非課税枠は?

基礎控除のほかに、財産の種類ごとの非課税枠があります。 金額が大きいのは死亡保険金の非課税枠で、 「500 万円 × 法定相続人の数」までが遺産の計算から外れます。 相続人が 3 人なら 1,500 万円です。死亡退職金にも同額の枠が別に用意されています。

自宅の土地には小規模宅地等の特例があり、条件を満たせば 330 平方メートルまでの 評価額を 80% 減額できます。評価額 5,000 万円の自宅なら 1,000 万円として扱われるため、 課税されるかどうかの結論そのものが変わることも多い制度です。 ただし適用には同居や事業継続などの要件があり、申告も必要です。

当サイトの相続税シミュレーターは、これらの非課税枠と特例を含めない計算です。 遺産総額を入れる前に、保険金の非課税枠と自宅の評価減を自分で差し引いてから 入力すると、実態に近い金額が出ます。

申告と納税の期限はいつ?

相続の開始を知った日の翌日から 10 か月以内に、申告と納税の両方を終える必要があります。 遺産分割が終わっていなくても期限は延びません。 未分割のまま法定相続分で申告し、後から修正する扱いになりますが、 この場合は配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例が使えないため、 いったん多く納めることになります。

基礎控除以下であれば申告は不要ですが、小規模宅地等の特例を使って 基礎控除以下に収まった場合は申告が必要です。 特例の適用は申告が条件になっているためです。

10 か月という期限は、実務上かなり短いものです。 戸籍を遡って相続人を確定させ、預貯金・不動産・保険を洗い出し、 不動産の評価額を算定し、相続人全員で分割協議をまとめる、 という作業をこの期間に収める必要があります。 期限を過ぎると無申告加算税と延滞税がかかるうえ、 前述のとおり配偶者の税額軽減も小規模宅地等の特例も使えなくなるため、 遅れによる金銭的な損失は加算税の比ではありません。

相続税とは別に、亡くなった人の所得税を精算する準確定申告があり、 こちらの期限は 4 か月と相続税より早く来ます。 給与のほかに不動産収入や事業収入があった場合は忘れやすいところです。

税理士に相談すべきなのはどんなとき?

遺産が基礎控除に対して明らかに少なく、預貯金だけで構成されているなら、 自分で判定して終わりにできます。一方、次のいずれかに当てはまる場合は、 概算ツールで方向性をつかんだうえで、早い段階で税理士に相談することをおすすめします。 相続税は判断を誤ったときの金額が大きく、しかも 10 か月という期限があるためです。

  • 遺産に不動産が含まれる(評価額の算定に専門知識が要る)
  • 自社株・事業用資産がある
  • 小規模宅地等の特例を使うかどうかで結論が変わる
  • 一次相続の分け方を、二次相続まで見て決めたい
  • 相続人の間で分割協議がまとまりそうにない
  • 亡くなる前 7 年以内に生前贈与があった

このページと相続税シミュレーターは、 制度の仕組みを理解し、おおよその桁をつかむためのものです。 個別の申告内容や納税額を保証するものではありません。税務相談の代わりにもなりません。 実際の申告は、税務署または税理士にご確認ください。

まとめ

まず基礎控除と遺産総額を比べれば、課税されるかどうかは判定できます。 課税される場合の税額は相続人の構成で大きく変わり、 配偶者の税額軽減をどこまで使うかは二次相続まで見て決める必要があります。 遺産額と相続人数での概算は相続税シミュレーターで計算できます。 入力した内容はブラウザ内で処理され、外部に送信されません。

退職金を受け取った直後の相続では、退職金の手取り額も遺産の計算に関わります。退職金の手取り計算ツールで 税引後の金額を確認できます。

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