
育児休業給付金はいつからもらえる?支給日と賃金月額・完全月の考え方
育児休業給付金の支給対象になるのは育児休業を開始した日からです。ただし最初の振込は育休開始から2〜3か月後になります。支給申請が原則2 か月に一度で、支給単位期間が 2つ終わるまで申請できないからです。支給額の土台になる賃金月額は、休業開始前の賃金支払基礎日数が11日以上ある「完全月」 6 か月分から計算します。産前産後休業を取った場合は、遡る起点が産休の開始前になります。
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記載の計算結果は一般的な条件による概算です。個別の条件で金額は変わるため、手続きに直結する場面では公的機関の資料を確認してください。 (免責事項)
育児休業給付金はいつからもらえる?(育休開始から初回振込までの流れ)
支給の対象になるのは育児休業を開始した日からです。振込はその 2〜3 か月後です。手順は 4 段階に決まっています。
- 育児休業を開始する(母親が産後休業に続けて取る場合は産後休業の翌日から)
- 支給単位期間が 2 つ終わるのを待つ
- 勤務先が支給申請書と賃金台帳・出勤簿をハローワークへ提出する
- ハローワークが支給決定し、その約 1 週間後に本人の口座へ振り込まれる
支給単位期間は、育児休業を開始した日から数えた 1 か月ごとの区切りです。厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」は、休業開始日または応当日から翌月の応当日の前日までを 1 つの支給単位期間としています。支給日数は原則 30 日で、月の長短では変わりません。
父親のモデルケースは形が違います。産後休業がないため、育児休業は子の出生日から取れます。出生直後に取る産後パパ育休(出生時育児休業)は「出生時育児休業給付金」という別の給付で、申請の時期も育児休業給付金とは別に定められています。この記事の日付は産後休業に続けて育休に入る場合のものです。
時間がかかる原因は申請のサイクルです。審査が長いわけではありません。支給単位期間が 2つ終わるまで申請できないため、育休開始から 62日は申請そのものが始まりません。そこに勤務先の書類準備とハローワークの審査、支給決定後の約 1 週間が積み上がります。
育児休業給付金の支給日はいつ?(2か月ごとの支給サイクル)
支給日は決まった日付ではありません。ハローワークが支給決定した日から約 1 週間後に、申請書で指定した口座へ振り込まれます。申請は原則 2か月に一度なので、振込も 2 か月ごとになります。
モデルケースの支給サイクルは次のとおりです。金額は休業開始前 6 か月の平均月給 28 万円(賞与を除く額面)で試算した賃金日額 9,333 円から計算しています。日付は 2026 年 12 月から翌年 7 月までです。
| 申請 | 対象の支給単位期間 | 給付率 | 振込額 | 申請できるようになる時期 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 1〜2回目(12月1日〜1月31日) | 67% | 375,186 円 | 1月31日を過ぎてから |
| 2回目 | 3〜4回目(2月1日〜3月31日) | 67% | 375,186 円 | 3月31日を過ぎてから |
| 3回目 | 5〜6回目(4月1日〜5月31日) | 67% | 375,186 円 | 5月31日を過ぎてから |
| 4回目 | 7〜8回目(6月1日〜7月31日) | 50% | 279,990 円 | 7月31日を過ぎてから |
初回の振込を早める余地は申請の頻度にあります。厚生労働省の同じ資料は「被保険者本人が希望する場合、1 か月に一度、支給申請を行うことも可能です」としています。1 か月ごとにすれば、1 回目の支給単位期間が終わる 12月31日 の分だけで申請でき、1月31日を待つ必要がなくなります。差は 31日です。申請は原則として勤務先を経由するため、変えられるかどうかは勤務先の手続きの都合によります。育休に入る前に相談してください。
期限は逆に厳しく決まっています。受給資格の確認と初回の支給申請を同時に行う場合、提出期限は育児休業開始日から起算して4 か月を経過する日の属する月の末日です。モデルケースでは 12月1日から 4 か月を経過する日が 3月31日で、それがその月の末日にも当たるため、期限も 3月31日 です。2 回目以降は、ハローワークが交付する「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」に印字された支給申請期間に申請します。日付は自分で決められません。
自分の平均月給と育休予定期間での月額と受給総額は育児休業給付金 計算で出せます。入れるのは休業開始前 6 か月の平均月給と育休予定期間の 2 つだけで、計算はブラウザ内で完結し外部に送信されません。
支給額の計算に使う「賃金月額」「完全月」とは?
賃金月額は、休業開始前の直近 6 か月に支払われた賃金の総額です。これを 180で割ると休業開始時賃金日額になり、支給額は休業開始時賃金日額 × 支給日数(原則 30 日) × 給付率で決まります。数える 6 か月は、賃金支払基礎日数が 11 日以上ある完全月を 6 つです。暦の 6 か月をそのまま並べるのではありません。
完全月は、賃金締切日の翌日から次の賃金締切日までで区切った 1 か月です。厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」の休業開始時賃金月額証明書の記載例は、休業開始日の直前の賃金締切日の翌日から休業開始日の前日までを最上段に置き、そこから順次遡って賃金締切日で区切った期間を並べ、「完全月で⑩欄の基礎日数が11日以上の月を6か月以上記入があれば記入はそこまでで結構です」としています。休業開始の直前の端数の期間は完全月ではないため、算定に使いません。
起点にも注意点があります。同じ資料は算定期間を「最初の出生時育児休業又は育児休業開始前(産前産後休業を取得した被保険者の方が育児休業を取得した場合は、原則として産前産後休業開始前)直近6か月間」と定義しています。産休を取った人は産前産後休業の開始前から遡ります。育休の開始前からではありません。産休・育休で無給になった月が平均を下げることもありません。
賃金締切日が月末で、産前休業を 8月25日 に開始したモデルケースで数えると次のようになります。
| 期間 | 完全月 | 賃金支払基礎日数 | 支払われた賃金 | 算定に使うか |
|---|---|---|---|---|
| 8月1日〜8月24日 | × | 17 日 | 220,000 円 | 使わない(賃金締切日で区切った1か月になっていないため) |
| 7月1日〜7月31日 | ○ | 22 日 | 280,000 円 | 使う(1か月目) |
| 6月1日〜6月30日 | ○ | 21 日 | 280,000 円 | 使う(2か月目) |
| 5月1日〜5月31日 | ○ | 20 日 | 280,000 円 | 使う(3か月目) |
| 4月1日〜4月30日 | ○ | 8 日 | 100,000 円 | 除く(賃金支払基礎日数が11日未満) |
| 3月1日〜3月31日 | ○ | 21 日 | 280,000 円 | 使う(4か月目) |
| 2月1日〜2月28日 | ○ | 19 日 | 280,000 円 | 使う(5か月目) |
| 1月1日〜1月31日 | ○ | 21 日 | 280,000 円 | 使う(6か月目) |
賃金支払基礎日数は、賃金の支払の基礎になった日数です。有給休暇の対象になった日と休業手当の対象になった日も含みます。この表では 4 月が 11 日未満なので算定から外れ、その分だけ 1 月まで遡って 6 か月をそろえています。使う 6 か月の賃金の合計は 1,680,000 円で、180 で割った賃金日額は 9,333 円です。給付率 67% の支給単位期間 1 つ分は 187,593 円になります。
4 月を算定に混ぜて 1 月を落とすと、合計は 1,500,000 円、賃金日額は 8,333 円に下がります。給付率 67% の 1 つ分では 20,100 円の差です。どの月を数えるかが金額に直接効きます。
算定から除く賃金もあります。同じ資料は「臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く」としています。賞与はここに当たるため入りません。賃金支払基礎日数が 11 日以上の完全月が休業開始前 2 年間に 6 か月そろわない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が 80 時間以上の月も使います。賃金日額には上限額 16,540 円があり、これに相当する平均月給 496,200 円を超えると支給額は増えません。
自分の月給がどの水準に当たるかは育児休業給付金 計算で確認できます。平均月給を入れると、賃金日額が上限額でクランプされたかどうかも表示されます。
給付率が 67% から 50% になるのはいつ?
通算の支給日数が 180 日を超えたときです。支給日数は 1 つの支給単位期間で原則 30 日なので、6 回目までが給付率 67%、7 回目以降が 50% です。
モデルケースでは 7 回目の支給単位期間が 6月1日に始まります。振込額で見ると、3 回目の申請までは 375,186 円だったものが、4 回目の申請で 279,990 円に下がります。1 回の振込で 95,196 円の落差です。育休が長くなる人は、この切り替わりの時期を家計の予定に入れておいてください。
数えるのは暦の日数ではなく支給日数です。産後パパ育休を取って出生時育児休業給付金を受けた人は、同じ資料に「出生時育児休業給付金が支給された日数は、育児休業給付金の給付率67%の上限日数である180日に通算されます」とあり、その日数の分だけ67% の期間が短くなります。
出生後休業支援給付金(給付率 13% 上乗せ)は誰が対象?
子の出生直後の対象期間に、本人と配偶者がそれぞれ通算 14 日以上の育児休業を取った人が対象です。2025 年 4 月に始まった給付で、最大 28日分だけ給付率 13% が上乗せされ、育児休業給付金の 67% と合わせて 80% になります。
誤解が多いのは対象期間です。厚生労働省の資料は、産後休業をしない人と産後休業をした人で対象期間を分けています。始まりはどちらも子の出生日または出産予定日のうち早い日で、モデルケースでは10月5日です。終わりが違います。母親は産後休業の分だけ長く、16週間です。
| 本人の立場 | 対象期間の長さ | モデルケースの対象期間の終わり |
|---|---|---|
| 産後休業をしない人(父親、または子が養子の場合) | 出生日から 8 週間 | 2026年11月30日 |
| 産後休業をした人(母親で子が養子でない場合) | 出生日から 16 週間 | 2027年1月25日 |
モデルケースの母親は育休が 12月1日に始まり、対象期間の終わりが 2027年1月25日です。この期間に 14 日以上の育休が入るため、配偶者の要件も満たせば 28日分の上乗せを受けられます。賃金日額 9,333 円での上乗せ額は 33,972 円です。賃金日額の上限額で計算した場合の上限は 60,205 円です。
配偶者の要件は、対象期間に配偶者も通算 14 日以上の育児休業を取ることです。ただし配偶者がいない場合、配偶者が無業者の場合、配偶者が自営業やフリーランスなど雇用される労働者でない場合、配偶者が産後休業中の場合などは、配偶者の育児休業を要件としません。この判定は子の出生日の翌日時点で行い、該当する事由ごとに提出する確認書類が違います。自分が該当するかどうかは勤務先の担当者かハローワークに確認してください。
厚生労働省の資料は、この 80% が手取り 10 割相当になると説明しています。給付が非課税で、休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、給与が出ないので雇用保険料もかからないためです。賃金日額の上限額を超える部分は反映されないため、給与が高い人ほど 10 割からは離れます。
まとめ
押さえる順番は 3 つです。育休開始日と支給単位期間の区切りを日付で書き出す。原則 2か月ごとという申請サイクルから初回振込の時期を見積もる。賃金月額に使う完全月 6 か月を特定して金額を計算する。
- 初回振込までの期間: モデルケースでは、育休開始の 12月1日から 62 日は申請そのものが始まりません。そこに書類準備・審査・支給決定後の約 1 週間が積み上がって 2〜3 か月になります。1 か月ごとの申請に変えられるかは勤務先に相談してください
- いくら受け取れるか: 賃金日額と支給単位期間ごとの月額、受給総額は育児休業給付金 計算で計算できます。育休予定期間を変えると、給付率が 67% から 50% に下がる時期が総額にどう響くかも比べられます
- 育休前の手取りとの比較: 給付率 67% は額面の給与に対する割合です。比べる相手は給与の手取りなので、育休前の手取りを給与の手取り計算で出してから並べてください。給付金は非課税で社会保険料も免除されるため、手取りどうしで比べると差は小さくなります
- 育休を取った年の配偶者控除: 育児休業給付金は非課税で、合計所得金額にも入りません。育休を取った年は給与収入が産休に入る前までの分に減るため、その年だけ配偶者控除や配偶者特別控除の対象になることがあります。自分の給与収入がどの壁の内側かは年収の壁シミュレーターで確認できます。社会保険の扶養とは別の話で、育休中も自分の勤務先の健康保険・厚生年金に加入したままです(保険料は免除されます)
この記事の日付はモデルケースです。支給申請の時期はハローワークが指定し、申請は原則として勤務先が行います。受給資格を満たしているかどうか、延長の事由に当たるかどうかの判断もハローワークが行います。自分のケースの日付と可否は、勤務先の担当者と管轄のハローワークで確認してください。
よくある質問
- 育児休業給付金は毎月振り込まれますか?
- 原則として2か月に一度です。厚生労働省の「育児休業等給付の内容と支給申請手続」は「育児休業給付金の申請は、原則として2か月に一度行ってください」と定めています。同じ資料は「被保険者本人が希望する場合、1か月に一度、支給申請を行うことも可能です」とも書いており、1か月ごとに変えられます。申請は原則として勤務先を経由するため、頻度を変えたいときは勤務先に相談してください。振込は支給決定後約1週間です。
- 産休中は育児休業給付金をもらえますか?
- もらえません。育児休業給付金の支給対象は育児休業を開始した日からで、産前産後休業の期間は対象外です。産休の期間に対応するのは健康保険の出産手当金で、全国健康保険協会は支給期間を「出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間」としています。モデルケースでは産後休業が11月30日に終わり、育休開始日は12月1日です。
- 育休の直前に時短勤務や欠勤で給与が下がっていた場合、給付金も下がりますか?
- 産前産後休業を取った場合、賃金月額の算定は原則として産前産後休業の開始前から6か月分を遡ります。産休・育休中の無給の月は対象になりません。ただし産休に入る前の時短勤務や欠勤で下がった月は、賃金支払基礎日数が11日以上あれば算定に入ります。賃金支払基礎日数が11日未満の月は除き、その分だけ前の月へ遡ります。11日以上の月が休業開始前2年間に6か月そろわない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月も使います。
- 初回の支給申請はいつまでにする必要がありますか?
- 受給資格の確認と初回の支給申請を同時に行う場合、期限は育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日です。モデルケースでは育休開始日が12月1日で、4か月を経過する日3月31日がその月の末日にも当たるため、期限も3月31日になります。申請は原則として勤務先が行うため、育休に入る前に手続きの担当者と時期を確認しておいてください。
根拠にした資料
この記事の支給単位期間の区切り・申請のサイクルと期限・賃金月額の算定方法・給付率・出生後休業支援給付金の要件は次の資料に基づいています(リンクの到達確認は 2026 年 8 月時点)。
- 育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版) — 厚生労働省
- Q&A〜育児休業等給付〜 — 厚生労働省
- 育児休業等給付について — 厚生労働省
- 2025年4月から出生後休業支援給付制度が始まっています — 厚生労働省
- 高年齢雇用継続給付金、介護休業給付金、育児休業等給付については、支給限度額を設定しており…(令和8年8月1日改定のお知らせ) — 厚生労働省
- 出産手当金 — 全国健康保険協会
改正で変わる数値: 賃金日額の上限額 16,540 円は、毎月勤労統計の平均定期給与額の増減に応じて毎年 8 月 1 日に厚生労働省の告示で改定されます。この記事の額は令和 9 年 7 月 31 日までの額です。給付率(180 日まで 67%、それ以降 50%)・支給単位期間の枠組み・申請期限は法律事項で、額の改定より長く有効な可能性があります。出生後休業支援給付金は 2025 年 4 月に新設された給付で、それより前から続いている育児休業では要件の確認日が変わります。